第5回

ゴムは、厚ければ厚いほど暖かい

もう10年ぐらい前かな、ゴムの保温力を研究してもらうためにある大学に持ち込んだんだ。3年間ほどいろいろな素材を持ち込んで調べてもらった結果、スポンジのゴムが厚ければ厚いほど、暖かいということがわかった。0.5mmでも厚くなればその分暖かい。インナー素材に起毛タイプだとか延びるジャージタイプ、遠赤外線、チタンフィルムなどさまざまな素材も比較して研究してもらった結果、素材による保温効果の違いは0.1パーセント以下しかなかった。ようは肌触り程度の効果や違いしかなかったんだ。ただし、ウェットスーツの中に空気をため込めるようにするとそのほうが暖かいのは事実なんだ。それは洋服でもそうで、いかにウェットスーツの中に空気をため込めるかで、暖かさがちがうというのも大事なことなんだ。中に空気をため込めない素材、たとえばチタンのフィルムなどは、いくら貼ったところであまり効果はなかった。遠赤外線素材でも空気が入っていれば、良いかもしれないけど。結局、ゴムが厚ければ暖かいんだという結論に至った。 

 つまり、ゴム厚イコール保温力なんだよ。冷たい海に入るんだったら、厚いゴムにすればいい。日本だったら5mmあれば充分だよね。数年前、「2mm厚のウェットスーツがあれば一年中使えます」っていうキャッチで薄いウェットを発売したウェットスーツ・メーカーがあったたけど、湘南でもサーフショップで2mmのウェットスーツを大喜びして売っていたよ。でも案の定、一年中はおろかひと冬なんて使えない。そんな2mm厚のウェットスーツで冷たい海に入ったって、寒いに決まっているじゃない。まあ1月、2月ぐらいだったら水が入ってこなければ、1時間ぐらいは平気かもしれないけどね。暖かいウェットスーツというのは生地を厚くすること。当たり前の話だけど、生地を厚くすると、当然動きにくくなる。動きにくくなるところを、どうやって解決するかということが、ゼロというウェットスーツ・メーカーが考えているところなんだよ。