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ウェットスーツのパターン(型)その2

文:川南 正


ゼロ・ウェットスーツでは、この型というのは2年に1回の頻度(ひんど)でデザインを変更している。それは、ウェットスーツを作っていて、「ここが変だな」という理由ではなくて、「次はこういうカタチにしたいな」って思いつくんだ。ほとんどデザイン的な要素だね。この10年で、ウェットスーツの型というのはほぼ決まってしまっている、ZEROの場合はね。でもよそのメーカーでもほぼ決まっているんだよ。だから、あとはデザイン的な変化、見た目の変化だろうね。極端な言い方をすると、洋服の型といっしょ。たとえば、ジーパンの縫ってあるところは必ずヨコ(脇、またはサイド)の部分じゃない。でもジーパンによっては、タテに縫っているメーカーがあるじゃない。あれは、一種の変わり者がやっているんだけど、長続きはしない。それはファッションの一部であって、かならずしも良いジーパンができるわけじゃない。やはり良いジーパンというのはヨコで縫い合わせていて、お尻の部分はタテに縫い合わせているというのが一般的なジーパンの縫製なんだ。それとおなじように洋服の縫製の仕方はだいたい決まっているんだけど、ZEROの場合は、最初からそれを無視している。なぜ無視しているのかというと、縫い線を縦割りにすると、ひじょうに壊れやすい。だからZEROのウェットスーツは斜め、斜め、斜めでカットして縫い合わせている。それと十字に割れているところはほとんどないんだ。全部T字型、またはY字型に割れるようにしている。そうすると壊れにくいウェットスーツができあがる。でもそういうやり方はとても作りにくい。一般的にそういうふうに見せかけているウェットスーツがたくさんあるんだけど、それはただパターンをやるときにそこの部分だけそういう部品を作って、そこにはめこんでいるだけなんだ。でも、見た目にはかっこいいんだよ、デザイン重視で作っているから。でもゼロ・ウェットスーツはデザイン重視ではなくて、壊れない重視で作っているんだ、機能重視だよね。

 おれは小さいころからおもちゃをばらすのが好きな男で、汽車も電車も自動車も開けてみると、中身はみんないっしょなんだよ。おれは、あれがどうも気に入らなくて。だって汽車だったら煙が出るんだから、中でなにかを燃やして走っていくとか、電車は電気で走るし、自動車はエンジンで走るから排気ガスを出すんだ。つまり、おれは外側より中がとても気になる、そういう意味では。ウェットスーツだったら、つなぎ目が気になる。ひとつの例としては、バスケットボールというのはスイカみたいに縦割りに切ってある。三日月型の部品を張り合わせてバスケットボールができている。サッカーボールは五角形の部品を張り合わせて作ってある。おれは、昔作って思ったんだけど、野球のボール、あの型はすごいなって。野球のボールをウェットスーツのゴムで作ったことがあるんだ。切るのは簡単だよね、平らなものだから。ところが、それを張り合わせる技術がとても難しい。のびちぢみするゴムで均等に丸く張り合わせるのがなかなかできない。あれは、ふたつのヒョウタンみたいな型で丸ができている。たぶん、おれは立体のカタチに興味があるんだろうね。どうやってできているのだろうかという好奇心が、いまのZEROのウェットスーツ作りに生かされているんだろうね。



SniperのS/S Springウェットスーツ。パターンの作り方がよくわかる。T型、Y型、斜めX斜めの菱形などのパターンを組み合わせて、壊れにくいウェットスーツ作りがゼロ・ウェットスーツの使命だ。


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