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ウェットスーツの縫製について

その3

すくい縫いミシン


文:川南 正


ブラインドステッチ、すくい縫いは、裁断したゴムとゴムをボンドで張り合わせたあと、補強のために縫うんだけど、普通のミシンだと裏側に針が抜けちゃうけど、裏側に針が抜けないように縫うのがブラインドステッチ、すくい縫いのミシンなんだ。でも、たとえば1ミリ厚のゴムでも裏に針が通らないように縫うには技術が必要で、外国のウェットスーツメーカーの連中の多くはそんな技術はないから、ジグザグミシンで縫ったり、オーバーロックミシンで縫っている。ジグザグミシンやオーバーロックミシンで縫うと、当然、裏まで針が通っているから、そこから水が浸入してくる。今は、オーバーロックミシンで縫ってあるウェットスーツが多い。中国製もそうだね。Tシャツの袖ぐりを見ればわかるけど、糸は見えない。だから日本国外で作るウェットスーツは見たくれは水が入るようには見えないけど、じつは水が入ってしまうウェットスーツなんだよ。オーバーロックミシンで縫う場合はボンドで貼り付けていないので作業も早いけど、水が入ってくる。ゼロ・ウェットスーツでも、コブラの袖はオーバーロックミシンで縫っているんだ。理由は水が入っても、冬でも30分ほど防寒できていればというコンセプトだからなんだ。それにすくい縫いができないほどの1ミリ厚の薄いぺらぺらのスキンゴムを使っているからでもあるんだ。

 すくい縫いミシンの難しさは、生地のゴムが柔らかいから平らになってくれなくて、とくに立体的なウェットスーツになればなるほど難しい。ミシンというのは、基本、平らにして縫わなければいけないのに、平らにできなくて、引っ張るとゴム生地が薄くなっちゃうし、余ると厚くなっちゃうから、ゴムだと厚みの調整が難しいんだ。ダイヤルでゴムの厚みの設定をして縫っていくんだけど、必ずしもそうはならない。オーバーロックミシンは1時間もあればだれでも縫えるようになる。それから、本縫いのミシンは1日あればだれでも縫えるようになる。でもすくい縫いのミシンは3ヶ月やっても縫えるようにはならない。ゴムの厚みは、3ミリ厚といっても鋤(す)き具合によって3.5ミリだったり、2.5ミリだったりと変わってくるので、最終的には自分の経験値でさわりながら厚みを判断してダイヤルを調整している。たとえば、ゴムの裏側にはジャージが貼ってあり、その厚みもポリエステルとナイロンでは変わってくるし、2ミリ/3ミリの厚みの異なるウェットスーツなどいろいろあるわけで、そうすると裏側に何ミリがくるかによって縫っている途中でダイヤルを変えなければいけないし、ウェットスーツごとにダイヤルを調整しなければいけない。だから、面倒だから平らに作っているウェットスーツ屋もあるね。平らな縫製なのに、うちのウェットスーツは立体裁断ですって、バカなことを言いながらね。やはり、立体にすればするほど、すくい縫いは技術的にとても難しくなってくるよね、ミシンは平らで縫いたいわけだから。

(つづく)


今や、世界中のシェイパーが探し回っている「スキル社製のプレーナー」と同じようにウェットスーツに欠かせないすくい縫いミシンもまた貴重な存在になる

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