文:川南正
ウェットスーツをファッションと考えている人がいるかもしれないが、けっしてファッションではない。サーフボードと同じで重要な道具のひとつだ。
膝腰の波でしかサーフィンをしないサーファーにとっては、サーフボードはなんだっていい。
ボトムが平らでも、ロッカーがなくても、浮いていられれば、なんだっていいのかもしれない。
しかし、サイズが大きくなると、まず、いちばん奥のカールに近いところからいちばん早く
テイクオフしなければならないのだ。
なぜ、サーフィンをやるのか、なにがいちばん楽しいのか?
それは、コンテストでいちばんになることではなく、今日のいちばん良い波にテイクオフする。それがいちばん大事で、それからその波で今日いちばんのライデングをする。
それが、サーフィンの一日に繋がる。
沖で波待ちをしていて、疲れていて良い波にテイクオフできなくて悔しい思いをしたことはないのだろうか?
いや!あるはずだ。良い波に乗るには良いウェットが必要だ。
テイクオフできなければ、その波はただ通りすぎるだけ。
かっこよく見えるウェットを着ていても、疲れてテイクオフできなければ一日は終わる。
それを考えるときに、サーフボードとウェットスーツの大事さをわかってほしい。
そのために作られたウェットを着て、藤村篤はジョーズのショアブレイクからパドルアウトし、福田朋夏はそのウェットを着て、100メートルのダイビングに挑み、ジェリー・ロペスは5時間も海の中で良い波を待ちつづける。
そのための道具をおれは作りつづける!
若き日のジェリーさん、Gランドにて。2005年のゼロ・カンパニーの見開き広告
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