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サーフィンと化学製品#15

マイク・ドイル その2


映画『エンドレスサマー』が劇場公開されたのが1966年。アメリカは、新しい海のスポーツ、サーフィンブームで沸き立ち、若者たちが海岸に押し寄せていた。サーフボードは作るそばから飛ぶように売れ、サーフトランクス、Tシャツ、ワックス、サーフラックなどのニューアイテムがサーフショップの店頭に並んだ。いわゆるサーフィン特需である。

 当時、ハンセン・サーフボードのサーフチームにいたマイク・ドイルはこのブームを好機としてとらえ、ドン・ハンセン、ラスティ・ミラー、ガース・マーフィーたちとともにサーフィンの新たな事業に乗りだしたのだ。名前は「サーフリサーチ」社、サーフアクセサリーの開発と販売を事業の柱にした。

 彼らが最初に開発したのが、「ワックスメイト」という商品名のサーフワックスだった。当時、サーファーたちはスーパーマーケット、またはガソリンスタンド(ガソリンを補給するついでにパラフィンを買うことができた)で業務用のパラフィンを入手して代用していたが、冷たい海ではパラフィンは硬く滑りやすくなり、苦労していたのだ。『The Surfer’s Journal』誌27.1号の記事「Better Surfing Through Chemistry」(文/スティーブ・バリロッティ、訳/李リョウ)では次のように書いている。「開発を手助けしてくれたのがスティーブ・クノールといい、ロウソク・メーカーの三代目でラスティの友達だった」とマーフィーは述懐する。「ぼくたちがこだわったのは粘着性だった。スティーブは専門知識を生かしてワックスを柔らかくしてくれた。そして三種類の製品をつくることにした。ウォーム、クール、そしてコールドといった具合に水温に合わせたんだ。原料を44ガロンのドラム缶に入れて、チョコレートを溶かすバーナーでゆっくりと溶解させ、それを自作の木型に流し込んだ。紫色の染料と香料を混ぜた。ラベルの裏には気の利いた文句を書き込んだ。ぼくたちはすっかりビジネス・モードだったよ」

 できあがった「ワックスメイト」は瞬く間にヒット商品となり、「サーフリサーチ」社のドル箱となった。初年度の売上げは25,000ドルだったが、翌年には24万ドルに跳ね上がった。こうして「サーフリサーチ」社は利益を原資にて次々と新しいサーフグッズを開発した。スプレー式のサーフワックスや乾きの早いサーフショーツ、そしてサーフラックに載せたサーフボードが盗まれないためのケーブル、そしてナッツやドライフルーツが入ったシリアルなどの自然食品など、ドイルたちサーファー自身が必要に感じていた商品を製品化し、「サーフリサーチ」社はいち時代を築いたのだった。



写真は世界初のサーフィン専用ワックス、「ワックスメイト」。グラフィックスに当時の様子が偲ばれる。



写真:Source: URL surfresearch.com.au

参考文献: 『The Surfer’s Journal』誌、EOS(Encyclopedia Of Surfing)、mikedoyle.com、Doyle Surfboard

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