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ジッパーの話 その5

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文:川南正


 バックジップ・タイプのサーフィン用ウェットスーツを最初に開発したのは、オニールかボディグローブか定かではないけど、このふたつのどちらかの会社が作ったんじゃないかな。ダイビング用ではなくてサーフィン用のウェットスーツを考えたときに、フロントにあるファスナーは、パドリングをしたりするときに邪魔じゃない。また、着脱の際の開口部のことを考えると、やはり背中にジッパーがあるほうが少なくてすむ。でも、アバウトなアメリカ人だから、それほど厳密にファスナーの長さの設定を考えたわけじゃないだろうね。ただ単に、バックジッパーのほうがいいんじゃないって、そうしたんだろう。サーファーにとっては、それが都合良かった。でも、いまはダイビング用のウェットスーツもバックジッパーになっているんだけど、それは背中のファスナーがそれほど邪魔にはならないことがわかってきたのと、それから、背負ったタンクがファスナーに当たらなければ問題ないんじゃないのということ。そこには、いろいろな工夫があるんだろうとは思うんだけど。だから、ウェットスーツで大事なのは、水の入りを少なくするためにファスナーをどこまで短くできるかということなんだ。開口部をいかに少なくするかということ。それで、いちばん短いファスナーを選ぶわけよ。通常、着たり脱いだりするには、ファスナーが長いほうが楽だよ。でも、その分、水が浸入してくるわけで、だから、なるべく短いファスナーを背中側にくっつけようということで、バックジッパーがある。ただ、「ドルフィンしたときに水が入りますよね」っていう指摘があり、ウェットスーツメーカーとしては「ファスナーなしはどうなの」っていう新しいテーマが出てきた。それで、30年ぐらい前に日本のどこかのメーカーがネックエントリーというウェットスーツを作ってみたけど、強度を考えずに伸びるだけのゴムを使ったから、半年も経たないうちにゴムがべろべろに伸びて使えなくなってしまった。防水効果じゃないけれど、水の入る量を防げなくなってくる。それで、すぐにネックエントリーというデザインは一度消えたんだよね。詳しくは「ネックエントリー」を読んでくれ。そのあいだに、コイルファスナーだの、防水ファスナーだの、各社いろいろ工夫したけど、アメリカのどこかのメーカーが、おれが知っているのはビラボーンだけど、ファスナーなしのウェットスーツを作ったというので、ゼロ・ウェットスーツもすぐにマネしたけど、どこのメーカーもそのアイデアに飛びついたよね。ところが、YKKもファスナーなしじゃ、都合が悪い、仕事がなくなるから。それで、アクアシールのような防水ファスナーを新たに開発してきた。その後、開発した防水ファスナーが硬いという欠点が見つかり、ソフトファスナーを作ってきたけど、柔らかくするとやっぱり壊れちゃう。まあ、ファスナー・メーカーも、そんなトライ&エラーを何回もくり返している。ファスナーはいまでも進化しているけど、どこまで行ってもファスナーはファスナーだよ。きりなくファスナー、やはり、ファスナーの弱点が出てくるよね。だからウェットスーツメーカーにとっては、ファスナーの改良を考えるよりも、ファスナーなしのタイプをどうやって改良するのかというほうが重要なんだ。ノンジップ・タイプのウェットスーツが出てきたお陰で、ストレスのないバラエティに富んだウェットスーツが作られるようになってきた。サマーシリーズのウェットスーツもファスナーがない分、ストレスがない。そういう理由で作っている。昔、ゼロ・ウェットスーツでもショートジョンとかジャケットなど、ファスナーをつけなかった。ゴムを伸ばして無理やり着ていたけど、やはり壊れるんだね。



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