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ジャージの種類 その3

文:川南 正


Z-1のインナーで使っているシェルターというジャージは、もともとはメーカーから持ち込まれたサンプルで、良いなと思ったんだけど、自分としてはまだ納得できる仕上がりではなかったので、3年ほど改良してもらって完成させたジャージ生地なんだ。このシェルターの生地はゴムと接している内側の繊維(写真で赤く見える部分)がナイロン繊維で、外側のオレンジに見えるパイルの織り物がポリエステルで、とにかく保温性を追求したジャージなんだ。メーカーはいつも高い生地を作りたくて(高く売れるから)、発熱素材を織り込んだジャージとか、いろいろと試行錯誤して作りだした冬用のサンプル生地をゼロ・ウェットスーツなどのウェットスーツ・メーカーに売り込みにくるんだけど、ある年、ふり返ってみて、「あの生地(シェルター)のほうが暖かいよね」って思い、大学で調べたらその理由がわかったんだ。メーカーから持ち込まれたサンプルは、最初は安っぽい感じだったので、色、糸の含有量、ループの大きさなど、性能と伸びや金額と見栄えなど、いくつか試してみた結論がシェルターだった。色は赤とオレンジの組み合わせがいちばん暖かく感じられるんだ。このシェルターはゼロ・ウェットスーツだけの最高級のインナー専用のジャージで、特許も取ったほどの、とても良い出来栄えだと思っている。

 それから最近、気になったことがあるんだ。たとえばナイロンの繊維は肌さわり、伸びも良いが、値段が高くなる。ところが、ポリエステルは繊維の伸びがナイロンよりも悪く切れやすくなるが、値段が安い。このナイロンとポリエステルのジャージの特性の違いを考慮しないで、ウェットスーツ・メーカーによっては表側にナイロン系の伸びる生地を貼って、内側のインナーの生地は伸びない生地(ポリエステル系)を貼っているんだよ、コストを下げるためにね。それじゃ、意味ないじゃん。せっかく表側に伸びるジャージを貼っているのに、内側に伸びない生地を貼ってちゃね。表も裏(インナー)も同じ生地じゃないと意味がないんだよ。ゼロ・ウェットスーツでは、Air Light(ナイロン系ジャージ)は表も裏もナイロン系のAir Light、Extend(ポリエステル系ジャージ)は表も裏もExtend、ポリエステル系を貼っている。それで、Z-1のインナーで使っているシェルターはポリエステルが含まれているので、伸び率を考えると、表側にAir Lightを貼るのはバカでしょって。だから、ゼロ・ウェットスーツでは表側にはポリエステル(Extend)を貼っているんだよ。それで、表と裏のバランスがとれるんだよ。


赤いベースに使われているのがナイロン繊維で、オレンジのパイル地がポリエステルの繊維。ポリエステルは水を弾き、ベースのナイロンは吸湿性があるので水を吸うが、サーファーは波待ちのあいだいたの上に座っているので、保持し切れない水はどんどん下に流れ落ちていく。ポリエステルのパイルは水を弾いているので、サーファーは暖かく感じることができる。


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