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スポンジの話

文:川南 正


ある時、メーカーが生地を送ってくる際に、納品する生地が傷まないように、外側に緩衝材としてどうでもいいスポンジが巻かれていたことがあった。最初に厚く焼いたスポンジ(ネオプレンゴム)をそれぞれの用途に合わせた厚みにスライス(漉く)していくのだけれど、この緩衝材として使ったスポンジは、ゴムを半分、半分に切っていくと、どうしても余ってしまう部分がある。その部分はウェットスーツの生地としては使えないから、捨てられちゃう。捨てるということは、産業廃棄物なんだ。だから、メーカーは、そんな捨てるしかないスポンジを緩衝材として、納品する生地のあいだに挟んでロールにして送ってきたんだ。でも、このスポンジだって、ジャージを貼ればちゃんと使える。それで、おれは、その緩衝材で使われていたスポンジをメーカーに送り返して、「これにジャージを貼ってくれ」と、頼んだことがあるんだ。そしたら、メーカーが、「うちには山のようにあるから、それを貼ってあげるから、送り返さないでくれ」って言われたことがある。

 なんでそんなに余るのかといえば、前にも話したが、最初に厚く焼いたスポンジをそれぞれの用途に合わせた厚みにスライスしていくわけ。ゴムを半裁していくと、余ってしまう部分が出てくる。日本のネオプレンゴムの製造方法(詳しくはネオプレンゴムの発泡を参照)は、熱発泡という方式で、コストがかかるガス発砲と違って、外気の湿度や温度によってゴムの膨らみ具合が左右される。同じ機械で焼いているのだけど、出来立ての熱いゴムを置いておくと、膨らんでしまうゴムもあるし、縮んでしまうゴムもあるので、一定時間、安定するまで積み上げておく。そして、できあがったゴムが安定したら最初に厚く焼いたスポンジをそれぞれの用途に合った厚みにスライスしていく。何ミリと指定される厚みにスライスすると、なかにはどうしても余る部分が出てくる。そんなわけで、ゼロ・ウェットスーツの工場には、メーカーから緩衝材として製品として一緒に送られてきたスポンジがストックされている。


緩衝材として送られてきたスポンジ。端の部分、いわゆるミミの部分はフラットスキンだ。ジャージだろうとスキンだろうと、このミミの部分は裁断で使われることはない。


左はフラットスキン、右がスポンジ。スポンジの断裁面は断裁によって熱発泡の空気孔がクレーターのように無数にできている。ジャージを糊(のり)で貼ることによって塞(ふさ)がれ、丈夫になる。

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