活のアルバム その1
文:川南正
活のアルバムを見ていたら、おもしろい写真を見つけた。稲村の土手で撮った写真なんだけど、年代は1973年。この時代のウェットスーツの着方がわかる写真なんだ。右の茂木は、ジャケットの上からロングジョンを重ね着している。で、ジャケットはたぶんダイビング用。まだサーフィン用のウェットスーツを作っているウェットスーツ屋は日本にはなかったからね。またこの時代、フルスーツのウェットスーツもなかったはずだよ。ダイバーはビーバーテールにジャケットだったよ。漁師のウェットスーツは両面生ゴムで、すぐにお尻の部分がロボロになっちゃたんだ。で、ジャケットの上から着ているロングジョンは、おれが輸入していたカリフォルニアのシースーツかオニール。シースーツかオニールか、どちらかはわからない。両方ともまったくコピーみたいに似たようなカタチだったからね。たぶん、3万円ぐらいしていた。1970年におれが会社にいたころは給料が6万7〜8000円もらっていたから、1973年で3万円はそれほど高くはないよね。左の男は井口か黒田(フェイスブックで連絡があって、黒田が「八巻だ」って言うんだけど、八巻ってこんなに可愛い顔をしていたかな)。彼が着ているのもダイビング用のジャケットの上からロングジョンを重ね着して、さらにその上にトランクスを穿いているんだ。ロングジョンのお尻の部分が擦れて穴が開いちゃっているから、上からキャンバス地のトランクスを穿いてごまかしているんだよ。昔のトランクスはコットン生地で、長持ちしたよね。ウェットスーツの上からトランクスを穿くのは一種のファッションだったんだね。当時、ホビーのヨットが売りはじめていて、トランポリンの上で移動するからウェットスーツのおしりの部分がすぐに擦れてボロボロになっちゃうので、ウェットスーツの上からトランクスを穿いていたんだね。また470など高速のヨットもあって、彼らもまたウェットスーツの上からトランクスを穿いていたよ。真ん中のロン毛は活だよ。
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